地域文化

 

 妻沼聖天山界隈で活動している「妻沼地域文化財調査研究会」と「妻沼掛軸愛好会」の指導されてきた金谷俊夫氏の日頃発言されている言葉に感銘し、このコーナーを開設しました。

 

 取り上げる内容は、上記2団体に所属される会員の皆さんの指導や資料提供を受けて作成しています。

 

●金谷俊夫氏の言葉

 

いま私たちふる里の生活を語るとき、それぞれが華やかで旺盛、まさに目を見張るものがある。そしてその成果は、事あるごとに披露され喝采されている。

 

 しかし、過ぎし日の妻沼ゆかりの先人たちの創造した文化、足跡について、どれ程の知識と理解があろうか。先覚者の活躍やその成果の多くが、今時代の流れに埋没し、安易に破棄されあるいは風化して、今にみることができなくなってしまったものが数多い。

 

指定され保存されている文化財は良い。その一つ一つが多くの歴史を語り、確かな事柄を伝え教えている。しかし、巷の絵師や筆屋の達人たち、趣味に生きた古老や文人たちの作品の中にも、掛替えのない素晴らしいものが残されている。時にはすでに美術品としての市場価値はなくなってしまったと思えるものもある。

 

だが、私はこの中に名も知らぬ人の作品に、真の価値を発見できることもあるかと思う。納屋の天井に置き忘れられ、戸棚の隅で幾百年もの歳月を眠り続け、煤に覆われ風化寸前の古文書や画に、いまに見えない妻沼の隠れた歴史があるかもしれない。

 

 これこそ過ぎし日の妻沼文化の基であり、これに係わった先人たちへの敬意であり、妻沼地域に住む人の誇りでもある。埋もれた作品を発見し、次代に引き継ぐ活動は地味であるが、これからも続けていくことが大切だ。