秘仏御本尊 御開扉

妻沼聖天山歓喜院の秘仏ご本尊の御開扉(御開帳)が、平成31年(2019年)4月16日から4月22日までの1週間行われます。(4月15日開白法会)

 治承3年(1179年)斎藤別当実盛公により開創さてから840年。聖天堂国宝指定後、初めてとなり、かつ平成時代の最終年という記念すべき時期の御開扉となります。

 

日時:平成31年4月16日~4月22日

  場所:妻沼聖天山 大師堂(埼玉県熊谷市妻沼1511)

  拝観時間:午前10時~午後4時

 (当日受付時間 午前9時30分~午後3時30分)

 拝観料[当日受付志納金]:3,000円(一般)または、10,000円(特別)

 *本殿「歓喜院聖天堂」の彫刻鑑覧を含みます

 *中学生以下は保護者が一緒ならば無料で入場できます

 

妻沼聖天山の秘仏

妻沼聖天山の秘仏は、国の重要文化財に指定されています。

 「鋳銅製の錫杖で総高51.8センチメートル。中央に双身の歓喜天・二童子の像を鋳出し、柄の表裏の銘文から、斎藤別当実盛の外甥(がいせい)、宮道国平(みやじにくにひら)、実盛の孫実家(さねいえ)、実幹(さねまさ)によって建久8年(1197年)に造られたことがわかります。」

(熊谷市文化財HPより)

 写真は厨子に納められている錫杖です。中央部の歓喜天は覆われていて、その姿を見ることはできません。

 御開扉の時には、覆われている錦がとられて拝することができます。

 

秘仏御開扉の場所は、聖天堂ではなく大師堂

妻沼聖天山歓喜院・浄願会が、諸事情を勘案して「大師堂」で秘仏御開扉をすることを決定されたのでしょう。

 しかし、840年前に斎藤別当実盛公が斎藤別当実盛が古社に祀ったことで、妻沼聖天堂の歴史が始まり、その後に、公の外甥(がいせい)、宮道国平(みやじにくにひら)、実盛の孫実家(さねいえ)、実幹(さねまさ)によって建久8年(1197年)に鋳造された御正躰錫杖頭が、現在の秘仏であり、妻沼聖天堂の御本尊です。

 妻沼聖天堂が国宝に指定されたことで、まさに奥殿での御開扉が期待されていたのではないでしょうか。残念です。

(写真は大師堂:建久8年(1197)の創建と伝わる弘法大師を祀る御堂。平成7年11月に大規模に建て替えられた。)

 

御開扉(御開帳)とは

御開扉と御開帳は寺院によって使い方が異なりますが、意味は同じで仏教寺院が本尊をはじめとする仏像を、安置されている仏堂や厨子の扉を開いて拝観できるようにすることです。

 妻沼聖天山は「御開扉」が使われていますが、以下「御開帳」の言葉で江戸時代からの歴史を見てみましょう。

 御開帳には2つあり、本寺院で行う場合は「居開帳」、他所で行う場合は「出開帳」と呼ばれていました。

 妻沼聖天山の歴史上の記録に残されているもっとも古い開帳が、延宝2年(1674年)に江戸浅草で出開帳し、戻ってきて「居開帳」が行われていました。

 江戸時代は御開帳が盛んで、なかでも信濃善光寺、嵯峨清凉寺・身延山・成田山が四天王と呼ばれ、出開帳の場所は本所回向院(現東京都墨田区両国)で行われ、多くの参拝者を集めたとあります。

 (*写真の浮世絵は、回向院で嵯峨清凉寺の出開帳の様子が描かれている。 鳥居清長忌展覧会回向院HPより)

 回向院と並ぶのが浅草寺です。おそらく、妻沼聖天山は浅草で30日間ほどの出開帳を行ったのでしょう。(出開帳は幕府寺社奉行に開帳許可願を出す。延宝2年の正月に願いを出し、6月頃開催)

 

妻沼聖天山の御開帳(御開扉)の記録

●江戸時代

・延宝2年(1674年)江戸での出開帳、後妻沼で居開帳

・享保17年(1732年)3月11日~17日 554年 本殿竣工大開帳

・寛保4年(1744年)3月9日~19日 566年

・天明6年(1786年)3月10日~4月9日 608年

・文化3年(1806年)3月4日~18日 628年

・文政元年(1818年)3月1日~28日 640年

・天保7年(1836年)3月(不明)   658年

・嘉永5年(1852年)3月1日~30日 674年

(写真は、昭和12年開帳時の聖天堂)

 

●明治時代

・明治20年(1887年)4月3日~22日 709年

・明治35年(1902年)4月2日~5月1日 724年

●大正時代

・大正7年(1918年)4月6日~20日 740年

●昭和時代

・昭和12年(1937年)4月4日~20日 759年飾り人形を地域ごとに作る

・昭和27年(1952年)4月8日~20日 774年飾り人形を地域ごとに作る

・昭和53年(1978年)4月1日~20日 800年

●平成時代

・平成8年(1996年)4月16日~22日 818年

・平成31年(2019年)4月16日~22日 840年

(写真は昭和27年開帳時の地域の飾り人形小屋)